皮脂中の不飽和脂肪酸をトラップする新技術

不飽和脂肪酸が、皮膚のバリア機能に悪影響を及ぼす?!

花王の研究発表になるのですが、分泌皮脂中の成分である不飽和脂肪酸が、

皮膚のバリア機能に悪影響を及ぼし、乾燥を引き起こす可能性があるとし、

ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)が不飽和脂肪酸を選択的にキャッチして、

皮膚との接触を減らすという技術の開発に成功したとのこと。

 

不飽和脂肪酸とはなんぞやって話ですが、飽和脂肪酸でない

脂肪酸のことを指します。

飽和脂肪酸とは炭素間の結合に二重結合を持たない脂肪酸。

平たく言えば、安定していて酸化しずらい脂肪酸って感じ。

ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸など。

 

不飽和脂肪酸は炭素間の結合に二重結合をもつ脂肪酸。

オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など。

 

ヒドロキシプロピルセルロースはセルロース誘導体で、

一般的には増粘剤として使用されます。

被膜作用もあり、これを不飽和脂肪酸ホイホイにする技術を

見つけたって話になります。

 

研究では、25~45歳の男女125名を対象に、洗顔から90分後の右頬の皮脂を採取し、

同時に角層水分量・バリア機能の指標となるTEWL(経皮水分蒸散量)の計測を行い、

その関連性を調べました。

 

一定の皮脂分泌量がある人と分泌量が少ない人に分けて解析を行った結果、

一定の分泌量があるグループにおいては、バリア機能が低いと、角層水分量が

少ないという関係性がありました。

 

さらに、皮脂中の不飽和脂肪酸の比率が高いほど、

バリア機能が低下していたとのこと。

 

このことから、不飽和脂肪酸がバリア機能の低下を招くのではないか?

との見解を示したわけですが・・・

 

おそらく、逆。

 

バリア機能が低下しているから、それをカバーするために皮脂の分泌が

多くなっており、バリア機能が低下している人ほど、不飽和脂肪酸の

割合が増えているのだと思われます。

 

だから、皮脂の分泌が少ないグループでは、不飽和脂肪酸の比率は

肌状態との関連性なかったわけです。

 

HPCを用いた新技術で、皮膚と不飽和脂肪酸の接触を防いだ結果、

どうなったかってなデータは示されていないわけでして、

不飽和脂肪酸が肌に悪影響を与えるって結論は早計かと。

 

とはいえ、遊離脂肪酸がニキビの原因になったり、

シミの原因になったり、毛穴が目立つようになったりと

悪い影響を与えるといわれているのは事実。

 

その要因として、脂肪酸が酸化したものが悪い影響を与えるケースが多く、

不飽和脂肪酸は酸化しやすいというわけさね。

 

ですので、このHPCを使った新技術ってのは決して無意味ではなく、

脂性肌の人にとっては朗報となるやもしれません。

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