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小胞体ストレス

様々な病気の原因といわれています

小胞体は生体恒常性維持に欠かせない細胞小器官の1つであり、

膜タンパク質や分泌タンパク質の翻訳後修飾や適正な折りたたみを担っています。

 

核の中になるDNAからRNAに変換することを転写といい、

転写したRNAからアミノ酸をつなげていくことを翻訳といいます。

翻訳されたアミノ酸の羅列はそのままでは機能しなくて、

これを折りたたんだり、何かをくっつけたりすることで

タンパク質となります。

 

鎖状のアミノ酸をタンパク質にするってのが小胞体の役割になります。

 

小胞体ストレスってのは、細胞に内外から種々の刺激負荷がかかると

小胞体内でのタンパク質折りたたみは障害され、折りたたみ不全の

不良タンパク質が蓄積する状態のことを指します。

 

つまり、小胞体にかかるストレスのことではなくて、

不良タンパク質の蓄積した状態のことを小胞体ストレスと呼ぶわけです。

なお、小胞体ストレスが生じる要因としては、栄養飢餓、細胞内カルシウム濃度の撹乱、

低酸素、変異タンパク質の発現、ウイルス感染などが挙げられます。

 

小胞体ストレスが生じると、細胞は状態を改善するためにUPR(unfolded protein response)

を発動して不良タンパク質を排除しよう試みます。

直訳すると「折りたたまれないタンパク質の反応」

正確な訳は「小胞体ストレス応答」です。

 

その反応は主に3つ。

①タンパク質の翻訳をブロックする

②小胞体分子シャペロンの転写誘導によって折りたたみ不全タンパク質を折りたたみ直す

③不良タンパク質を小胞体内腔から引きずり出し分解する

 

これによって、小胞体ストレスを軽減させるわけですが、

これでも対処できない場合、細胞がアポトーシスします。

まあ、細胞が死ぬわけ。

 

この想定外のアポトーシスによって、臓器などの機能不全が起き、

それが様々な病気の原因となります。

 

糖尿病は膵臓β細胞において小胞体ストレスが生じ、アポトーシスが引き起こされる

ことでβ細胞の脱落が起こり、生体内でインスリン不足することで起こるといわれます。

 

神経変性疾患、アルツハイマー病などは、変性タンパク質の蓄積が原因といわれますが、

それによって小胞体ストレスが発生、神経細胞が死ぬことで、認知障害が起こるといわれます。

 

他にもガン、高血圧、血管疾患、肥満などなど、生活習慣病と呼ばれるものに

小胞体ストレスが関わってきます。

 

 

小胞体ストレスを緩和するにはどうすればよいかって話ですが、

生活習慣を正せってのが一番確実。

バランスの良い食事、適度な運動、質の高い睡眠、

できるだけストレスを感じない生活環境を整える、

まあ、できるならやってるわっ話でしょうが。

 

これは最低限として、何か良いものはないか?

 

一応、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンが

小胞体ストレス緩和作用があることが確認されています。

ブロッコリースプラウトを毎日食べるのもよいし、

サプリでとるのもありじゃないかな。

 

化粧品業界では、ポーラがユキノシタエキス、ヒキオコシエキスに

小胞体ストレスの緩和効果があるとの発表をしています。

また、オリザが黒米エキスに小胞体ストレス緩和効果を見出しています。

 

正直、小胞体ストレスを軽減することで肌にどのような影響があるのかは

ちょっとわからん。

ホットな話題なので、今後も研究が盛んに行われていくとは思いますので、

もしかしたら、革新的な原料が今後でてくるかもしれません。

 

 

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