通称HMPA
機能性表示食品の登録ってのがメールでくるんですけど、
初めて見る原料が登録されていたので、ちょっと調べてみました。
丸善製薬が申請して受理されたとのことですが、
丸善製薬は漢方系に強い原料メーカー。
サプリでも化粧品でも手広くやっているところではありますが、
今回申請が受理されたのが3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸
3-(4-Hydroxy-3-Methoxyphenyl)Propionic Acidを略してHMPA
と呼ばれるものです。
「腹部の脂肪とウエスト周囲径を減らす」
「食後に上昇する血糖値を元に戻しやすくする」
と2つの効能を謳うことができるとか。
HMPAとは何じゃらほいって話ですが、
どうやらポリフェノール共通代謝物とのこと。
ポリフェノールはベンゼン環に複数の水酸基が結合した化合物の総称。
天然物としてはこれまでに8000を超える化合物が同定されています。
ポリフェノールは腸内細菌によって代謝され、
その過程で産生されるのがHMPAなんだそうな。
ポリフェノールの代謝についてはまだまだ未知の部分のほうが
多いみたいですが、厳密には大腸で変換、吸収されるものが
ポリフェノール共通代謝物ってことのようです。
基本的にはポリフェノールは配糖体となっており、
その糖を外さないと吸収されないことから、
ポリフェノールの吸収は腸内環境に依存するといわれています。
実際に糖を外すことで、吸収力が上がることは証明されています。
アントシアニンとかイソフラボンとかサポニンとか。
それとは別に、ポリフェノールを菌が代謝する過程で、
HMPAが産生されており、それに着目し、予めHMPAを
摂取したらどうなるか研究したところ、LDLを低下させる
効果や抗肥満効果が確認できたというわけ。
酪酸菌および 3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸配合食品摂取による
体重,体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)改善効果の検討:ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
この論文は、酪酸菌と一緒にとっているけど、HMPAの効果を見れる良いデータではないかな。
内臓脂肪、皮下脂肪の減少には高い効果がありそう。
米ぬか発酵物中にHMPAを規格した原料を丸善製薬が開発製造しているのかな?
米ぬか発酵物含有食品の摂取による腹部脂肪への影響ーランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
こちらが丸善製薬から出ているデータになります。
米ぬか発酵物の摂取量は100mg/日
お腹の脂肪面積を測定しているものになります。
これも100mg/日
血糖値の低下が早く起こり、これは糖の吸収を抑えるものではなく、
糖代謝の活性化によるもので、糖尿病の改善効果を期待できる
かもしれないって示唆になります。
すべてのポリフェノールに同様の効果がある可能性があるわけですが、
どちらにしろ腸内環境に依存する話で、HMPAを直接取る意義は、
腸内環境に依存しないってこと。
まあ、皆平等に恩恵を受けることができるというわけ。
肥満、糖尿病に効果があることから、もしかしたら生活習慣病全般に
良い効果があるかもしれないかな。
いわゆるフレンチパラドックスでレスベラトロールが注目されましたが、
本当のキーはHMPAだったのかもしれませんね。
ポリフェノール全般で言えるのが、効果を実感しづらいって問題がありますが、
こちらは効果効能が明らかで、実感しやすいってのはかなり強みになるかと。
もしかしたら流行るかも・・・?!