ノンカチオンシャンプー?

カチオン系原料を使わないシャンプー

この特定の成分をネガティブキャンペーンをして、

自社の商品を売ろうって手法は昔から行われています。

これもその一環ではあります。

 

ノンカチオンシャンプー

 

カチオンが入っていないシャンプーってやつです。

 

ほとんどの人は、カチオンってなんやねんと思うことでしょう。

カチオンとはプラスに帯電しているもののこと。

陽イオンになった分子と言い換えることもできます。

 

通常、髪や皮膚表面はマイナスに帯電しています。

静電気などが発生するのはそのため。

プラスに帯電していると、マイナスと引き合うことになり、

カチオン成分は髪の表面を覆うことになります。

これを理油してコンディショナー成分として使用されるわけ。

 

元々はシリコンで覆ってしまえばよかったんですが、

昨今はノンシリコンシャンプーが主流となってしまったわけです。

その埋め合わせをするために使用されるのが、カチオンというわけよ。

 

具体的にはポリクオタ二ウム-10が有名です。

こちらはカチオン化したセルロースになるのですが、

プラスに帯電していながら、アニオン界面活性剤へ干渉しません。

アニオンってのはマイナスに帯電しているってこと。

 

シャンプーに使われている主成分はアニオン界面活性剤になります。

プラスとマイナスは引き合うので、本来は相殺されてしまうのですが、

ポリクオタ二ウム-10はそういったことがないため、重宝されています。

いわゆるノンシリコンシャンプーのほとんどに使われているといっても

過言ではないです。

 

また、コンディショナーに配合されるカチオン界面活性剤。

○○クロリドとか●●メトサルフェートとかいうやつです。

これも同様に髪表面がマイナスに帯電していることを利用して、

電荷を利用して髪表面をコーティングさせるというわけ。

電気的に結びついているので、洗い流されにくいことから、

コンディショナーやトリートメントに配合されます。

 

で、両性界面活性剤ってのがあって、プラスとマイナスの電荷をもっている

界面活性剤があるんです。

これはアニオン界面活性剤と併用することで、洗浄性を高め、

起泡性を高めるほか、刺激緩和作用があります。

 

ノンカチオンシャンプーはこれらを使用していないシャンプーということになります。

 

 

当然ではありますが、使用感は悪くなります。

使用感を犠牲にしてまで、何がしたかったのかというと、

「売りたい」に尽きると思います。

 

当たり前に使用されている成分をネガキャンすることで、

そのネガキャンが成功すれば、ノン○○って謳えば

飛びつくわけですよ。信じた人はね。。。

 

ぶっちゃけ、このネガキャンは嘘でもよいのです。

まあ、嘘である場合が多いのですが、例えばシリコンについては

完全な冤罪なんよ。

デメリットはしっかりコーティングされ過ぎるから、

自身の髪の状態がわからなくなるってことくらい。

 

最終的には「環境ガー」とか言い出す始末。

もはや陰謀論と変わらないんよ。

 

で、カチオンのネガキャンは、髪に残りやすいから、

枝毛ができるのも、フケがでるのも、抜け毛がでるのも、

白髪になるのも、全部カチオンのせいだと。

まあ、すべての髪に対する不都合をカチオンのせいだと

いっているわけです。

 

ぶっちゃけ、影響がでるほどの濃度は配合されていないんよ。

シャンプーでは1%以下で運用するのが普通ですので。

ポリクオタ二ウム-10が悪さをするってことは、通常は考えられなです。

 

使用感を犠牲にしてまで、排除したいって人がいるのか知りませんが、

個人的にはあんまりメリットを感じないかな?

 

 

ラウリル硫酸ナトリウムよりも毒性が高い?!

カチオン界面活性剤はあの悪名高いラウリル硫酸Naよりも毒性が高い・・・

と経口投与での急性毒性を持ちだしているわけですが、

ラウリル硫酸NaのLD50(Lethal Dose 50:半数致死量)=1200mg/kgに対し、

ジデシルジメチルアンモニウムクロリドのLD50=100~400mg/kg

セトリモニウムクロリドのLD50=2150 mg/kg

N,N-ジメチルドデシルアミンのLD50=1450 mg/kg

ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドLD50=250mgkg

 

ちなみに食塩はLD50=3000mg/kg

BGはLD=1200mg/kg

ボツリヌストキシンAはLD50=0.0000011mg/kg

サリンはLD=0.5mg/kg

 

LD50は一気にこれだけの量食ったら半分は死んだよってこと。

まあ、ネズミやウサギでの試験となるので、そのまま人に当てはめれる

ってわけではないんですけどね。

 

まず、ラウリル硫酸Naの数値を見て、BGのほうが毒性が高いとはならんわけ。

ぶっちゃけ、皮膚刺激性とLD50の間には相関関係はないです。

また、カチオン界面活性剤といっても、LD50はまちまちで、

ラウリル硫酸Naよりもすべて急性毒性が高いってわけでもないです。

 

LD50の話が出てきたら、一旦懐疑的に見たほうがよいです。

普通はいちいち調べないでしょうから、その数値も適当なことが

しばしばありますし。

カチオンはタンパク質変性を起こす?!

細胞膜はマイナスに帯電しているから、プラスに帯電している

カチオン物質はそれを乱し、膜を崩壊させるとかなんとか・・・

実際にそれを利用して殺菌剤として使われると。

細菌と同じ細胞からできている肌も影響があるとの主張です。

 

うーん、まず言いたいのは、じゃあアニオン界面活性剤である

ラウリル硫酸Naはタンパク質変性を起こすのかと。

マイナスとマイナスなら反発し合うんでないん?

 

細胞に直接触れれば、細胞は壊れてしまうかもしれませんが、

おまえの皮膚は細胞がむき出しになってるのか?って話。

髪の毛はキューティクルで覆われていますし、

肌は角質層というバリア層があるわけで。

 

直接的に毒性を示すってことはまずないです。

 

もちろん、稀にアレルギーを示す人もいるのは確かですが。

 

 

カチオンは経皮吸収される?!

もう面倒臭くになってきたなー

表面に吸着するのに、なんで吸収されるん?

シャンプーを毎日欠かさずしてたら、羊水が白く濁って

泡々になってた。頭皮は経皮吸収しやすい!ってな話がありますが、

いや、あれ都市伝説ですよ?

んな話は実在しません。

 

経皮毒という言葉がありますが、あれはデトックス商品を売るために

作り出された造語であり、ぶっちゃけるとエビデンスなんてないんよ。

 

少なくとも、カチオン物質が肌へ浸透するってことはないですし、

したとて悪さをするって話もないです。

 

原液なら、まあ安全とは言い難いとは思いますが、

薄めて使っているわけで、その辺をごっちゃにして節があるかな。

 

 

正直な話、ノンシリコンシャンプーのようにノンカチオンシャンプーが

流行ることはないと思われます。

 

理由としては、まずカチオンってのはなんや?ってところを

説明しないといけないですし、説明されたとて、すんなり話が

入ってこないと思われます。

 

また、カチオンで困っているって人はあんまりいないんでないかな?

そもそも、カチオンが原因だったとしても、そこにたどり着いている人は

極々僅かだと思われます。

 

あとは消費者が年々賢くなっているんでよ。

シリコンの時のように簡単には扇動されないでしょう。

デマの流布は圧倒的に手軽にできるようになりましたが、

真偽を見抜く能力は鍛えられてるわけです。

 

ステマも法的に規制されるようになっているわけで、

流行らすのは非常にハードルが高いです。

試みとしては面白いけどね。

 

 

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