皮膚アレルギーを抑制するマクロファージ
東京医科歯科大学は3月12日、皮膚アレルギー炎症局所の1細胞RNAシーケンス解析を行い、
皮膚にやってきた炎症性単球がアレルギーを抑制するマクロファージへと変化していく
仕組みを解明したと発表しました。
アレルギーを抑えるマクロファージの存在は知られていましたが、
どういう過程で誘導されるのかは不明だったのを、今回明らかにした
ってな話になります。
炎症ってのは本来は体を再構築するための仕組みです。
古い建物を壊して更地にして、新しい建物を建てるように、
炎症によってダメージを負った細胞、死んだ細胞などを排除します。
延々に燃え続けるわけにはいかないので、ある段階で止める必要があります。
そこで登場するのが炎症抑制型マクロファージ。
このマクロファージは死細胞や炎症分子を食べることで、
炎症を鎮火させます。
好塩基球にあるIgE抗体がアレルゲンに接触すると、インターロイキン-4(IL-4)が
放出されます。
このIL-4が血中から浸食してきた炎症性単球が中間型のマクロファージへと変化し、
最終的に炎症抑制型のマクロファージへと変化するということが明らかとなりました。
簡単に言えばIL-4によって、炎症を抑えるマイクロファージができ、
炎症が鎮火するというわけ。
インターロキシンとは、サイトカインの一群で50種類以上が確認されています。
サイトカインとは免疫細胞から放出されるタンパク質で、細胞間の情報伝達物質になります。
インターロイキン-4(IL-4)は主にT細胞、NK-T細胞、好塩基球、肥満細胞から産生されます。
主にアレルギー、炎症に関与し、B細胞を活性化してMHCクラスⅡ及びCD80やCD86の
発現増強を介して抗IgMやCD40抗体刺激による増殖を増強するとされます。
まあ、B細胞を活性かして増やす作用があると。
で、B細胞は抗体を作る細胞で獲得免疫に関わってきます。
他にも、線維芽細胞や血管内皮細胞の接着因子発現誘導、
造血系細胞のコロニー形成促進などが挙げられます。
IL-4が重要ってのは間違いないのですが、それよりも重要なのが
炎症性単球になります。
炎症性単球が皮膚へ入り込めないマウスでは、炎症部での炎症抑制型マイクロファージの
数が極端に少なくなり、除去されないまま残った死細胞がIL-1αを分泌することで
炎症が悪化することが確認されました。
さて、炎症がなかなか治まらないのはなぜ?
という疑問への答えとしては、
①炎症性単球の不足
②IL-4の不足
③炎症抑制型マイクロファージの不在
④死んだ細胞の除去ができていない
ということが考えられます。
②に関しては、IL-4を放出する免疫細胞が少ないのか、
放出する力が弱いか、の可能性が考えられます。
自然治癒の観点からは炎症抑制型マクロファージが増えることが
望ましいので、これを増やすような治療ができれば理想。
次点では死んだ細胞を速やかに除去するってことですが、
正直、どちらも難しいかなーと思われます。
ステロイドはホルモンに分類されるものですが、
サイトカインと同様に情報伝達物質です。
ステロイドは遺伝子に直接作用し、抗炎症因子を増産するほか、
炎症を促す遺伝子をブロックすることで、急速に炎症を抑えます。
副作用の強さのため、ステロイドに代わる薬剤が求められているわけですが、
今回の研究結果がステロイドの代替品の製造に活かされる日は
まだまだ先かなーと。
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