原因は未知の成分？！
食品業界を震撼させる事件が起こってしまいました。
大手企業の紅麹で重度の健康被害がでており、
その問題の紅麹は52社に卸していることから、まあ、大変。
小●製薬が製造する紅麹サプリを摂取した数十名が腎疾患を起こしたとて、
入院しており、中には人工透析が必要だったとの人もいたってことで
自己回収を発表、同日には謝罪会見も行うという事態に。
いろんな食品メーカーが自己回収を余儀なくなれ、
紅麹を使っている会社は電話対応で四苦八苦したとか。
紅麹がすべてダメってわけではなくて、
小●製薬で製造された紅麹の中でも特定のロットのものが
健康被害を引き起こしたと。
ですので、他のメーカーの紅麹は問題はないわけですし、
過去の小●製薬の作ったものも問題はなかったわけです。
紅麹はモナコリンKという成分を生成し、これがコレステロールの上昇を抑える
効果があるとして、サプリメントで使われています。
HMG-CoAという還元酵素を阻害することで、コレステロールの生成を阻害することで
コレステロール値を下げるというのが作用機序。
また色素として使われますが、その成分はアンカフラビン、モナスコルブリンなどが
タンパク質と結合することで赤色になるといわれます。
もちろん、これらの成分が今回の元凶ではないです。
紅麴はシトリニンというカビ毒をつくるものもあり、
腎疾患を引き起こすおそれがあるとされています。
もちろん、現在作られている紅麹エキス等は、シトリニンを作らない
菌株を使用しているので、シトリニンが混入することはないです。
今回の問題の紅麹エキスからはシトリ二ンは検出されていませんので、
シトリニンが原因というわけでもないです。
遺伝子解析でシトリニンをコードする遺伝子がないってことを
確認しているほか、実際にシトリニンが産生されないことも
確認しているわけで。
2020年には全ゲノムも解析してるのなー
ちなみにシトリニンのLD50＝50ｍｇ/ｋｇ（ラット）
急性毒性というよりは慢性毒性が高い毒素です。
じゃあ、原因は何？って話ですが、現在もなお不明とのこと。
以下、仮説となりますので、話半分に聞いてください。
他の菌の混入説
紅麹ではない、何かしらの菌が混入して、その菌が未知の毒素を生成したのではないか？
って仮説。
まあ、ヒューマンエラーでコンタミすることはなくはないです。
長年保管していたシャーレが急にコンタミするってことは
たまにありましたからね。。。
本当に意味が分からん、あり得ないことってのは目に見えない世界では
まあまあ起こります。
ただ、紅麹の培養に最適化された培養液内で、
紅麹を差し置いて増殖するってことは、まあ無理だと思います。
紅麹は文字通り赤いので、それ以外が増えていれば、
目で見て異常に気付くはずです。
この仮説が正しいとするならば、その毒素が微量で超強力な毒性を発揮するか、
微量しか存在しない謎の菌が毒素を大量発生させるか、どちらかが必要となります。
どちらも現実的はなないです。
空気中にそんなヤバい菌がいるのなら、もうすでに知られているはずです。
突然変異説
培養している菌株で突然変異が生じたことで、その変異株が未知の毒素を
生成したのではないか？って仮説。
より良い菌株を求めて、突然変異を誘発させることは菌では一般的に行われています。
我々の体でも毎日何かしらのDNAの複製のエラーが起きていますが、
これらは免疫等によって処理されます。
しかし菌は突然変異した個体は独立して存在することが可能です。
この突然変異で耐性を獲得するなど、菌にとっては突然変異は
生存競争を勝ち抜くためには必要不可欠なものなのです。
運悪く、その変異が毒素を作るものだったって可能性はなくはないかな。
確率論でいえば、非常に低い確率の話ではありますが。
おそらくはシトリニンではないけど、近しい物質なのではないかと思われます。
他の菌から獲得した説
他の菌が混ざったってところは同じなんですが、
その菌が増えたわけではなくて、その菌がたまたま毒素を作る遺伝子をもっていて、
その遺伝子を紅麹が引きついたという可能性。
一時、世間を騒がせたO-157は大腸菌がベロ毒素を作るようになった菌株。
大腸菌は環状RNAを有していて、外部の遺伝情報をそこに組み込むことで、
簡単に新しい遺伝子を獲得することができます。
これを応用して遺伝子組換えなんかをするのですが、
似たようなことが紅麹に起きたのではないか？ってな仮説。
まあ、麹でそんな話は聞かないのですが、他の菌が増えて毒素を作ったって話
よりかは可能性があるんでないかな。