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プベルル酸が犯人?!

紅麹問題、もはやミステリー

プベルル酸が検出されたとの報道を受け、犯人はコイツで決まり!

みたいな空気になっています。

どこの誰の思惑かわかりませんが、ここを着地点として話を

進めている感は否めません。

 

プベルル酸は青カビ由来の成分だとのことですが、

青カビといっても300種類以上が存在しており、

すべての青カビがプベルル酸を作るわけではないです。

そもそも、青カビでマイコトキシン(カビ毒)を作るほうが珍しいです。

 

Penicillium citrinumは紅麹が作るマイコトキシン、シトリニンを作ることが知られています。

 

プベルル酸を作る青カビはPenicillium viridicatumで、ブドウやメロンを腐敗させる

青カビの一種になります。

こいつもシトリニンを作るほか、オクラトキシンA、シクロピアゾン酸などの

マイコトキシンを生成するといわれています。

プベルル酸はブドウの腐敗物から抽出されており、マラリア治療薬の候補として

研究された経緯があります。

つまり、プベルル酸はこの菌とブドウが揃ってないと作られないわけです。

 

何が言いたいかというと、仮に管理の不備によって青カビが混入したとして、

その青カビがたまたまPenicillium viridicatumだったとしても、

プベルル酸が生成される環境にはなり得ないと。

他のマイコトキシンが検出される可能性のほうが、普通は高いはずなんですよね。

 

もちろん、問題のロットの紅麹から特異的に検出されているので、

プベルル酸が入っていたことは間違いない。

けれども、これが原因だとの断定はできないわけで。

 

プベルル酸の毒性を示す試験で、皮下投与によるマウスの実験では5 mg/kg × 2(0日目と1日目)

の投与で、5匹中 4匹が 3日目までに死亡するというものがあります。

なんで注射?と思うかもしれませんが、マラリアの治療薬ですからね。

皮下投与を想定しているわけで、毒性試験も同じにしないと意味はないですから。

 

結構な毒性ではありますが、経口投与での毒性試験ではありません。

実際、マラリア治療には経口投与では効果がないことが明らかとなっています。

 

つまり、腎疾患との関連性は全くわかっておらず、

本当にプベルル酸が原因なの?と思わざる負えないわけです。

 

本来、青カビ由来であれば、それ相当の青カビが繁殖している必要があります。

そうなれば、培養タンクを目視で異常が見つかるような気がするわけです。

場合によっては異臭も発生することでしょう。

 

そうでなければ、プベルル酸の毒性が滅茶苦茶に高いって話になりますが、

仮にもマラリアの治療薬の候補となったくらいです。

そこまでの毒性があるとは考えにくい。

 

また、青カビ由来えだれば、他の成分の検出もされているはずですが、

そういった話もでてこない。

(小林製薬は他にも候補があるといってはいるけど)

 

プベルル酸が含まれていたのは確定事項で間違いないとは思いますが、

何由来か?腎疾患との関連性は?というところは、謎のままです。

また、紅麹の成分との相乗効果で、毒性が一気に高まるって

可能性も否定できないところではあります。

 

そうなると、原因解明は滅茶苦茶に難しくなると思われます。

 

不都合な真実が存在するのか、このままプベルル酸で決着するのかは

分かりかねますが、不可解な事件ですな・・・

一日でも早く、原因解明されることを祈っています。

 

 

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