セラミドが形態変化する?
株式会社コーセーは、肌バリアの機能低下が、細胞間脂質の主要構成成分のひとつである
セラミドが形態変化した「悪玉セラミド」によって生じることを発見したとの発表をしました。
細胞間脂質から遊離脂肪酸が減少すると、
セラミドの分子形態が変化し悪玉セラミドとなるんだそうな。
その結果、ラメラ層に隙間ができて、バリア性や保水性が損なわれると。
さらに、アセチルアミノ酸によって、遊離脂肪酸の脱離を
防ぐことができることを見出しました。
従来、セラミドの密度が低下することでバリア機能や保水機能が低下する
と考えられてきました。
しかし、それに異を唱えたというわけさね。
セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸の割合を変化させた
細胞間脂質モデルをいくつか作成した結果、
遊離脂肪酸の割合が高いモデルほど、隙間ない細胞間脂質を形成し、
遊離脂肪酸の割合が低いモデルは隙間だらけになったそうな。
しっかりした隙間ない細胞間脂質を形成するのに、
遊離脂肪酸の存在が欠かせないとの結論に至ったそうな。
で、隙間だらけの細胞間脂質にアセチルアミノ酸を加えたところ、
その隙間が改善されたとのこと。
アセチルアミノ酸はアミノ酸誘導体みたいなものです。
アセチルメチオニンとか、アセチルヒドロキシプロリンなどなど。
大変面白い話ではあるのですが、いくつか疑問点があります。
悪玉セラミドとの新しいワードがでてきていますが、
これはセラミドの形態が変化してバリア機能を低下させるといいますが、
実際にどう変化しているのか示されていません。
セラミドはクッソ安定性の高い物質ですので、
簡単に変化するというのはとても信じられないんですよね。
単に隙間ができているだけって話なような気がしないでもない。
仮に悪玉セラミドなるものができているとすると、
ヒト型セラミドを補っただけで、バリア機能や保水機能が回復する
説明がつきません。
まあ、セラミドが増えて悪玉セラミドが補正されるとか、
それらが置き換わるとか考えられますが、そもそもセラミドは
変化していないと考えた方が自然かな?と個人的には思います。
あとは、遊離脂肪酸を直接補う試験をしていないのは何故??
天然保湿因子に着目して、アセチルアミノ酸を見出したわけですが、
この実験ではアセチルアミノ酸が悪玉セラミドになるのを防ぐというよりは、
改善したと見る方が自然かと。
ただ、アミノ酸誘導体に変化したセラミドを正す効果があるとするのは
流石に厳しいわけで・・・
あくまで人工モデルによるものなので、実際の肌ではどうなっているのか
って疑問もあります。
悪玉セラミドって考え方には懐疑的ではありますが、
遊離脂肪酸が重要な役割を担っているってのは分からなくもない。
びっしりセラミドを並べても、どうしてもできてしまう隙間を
パテのように脂肪酸が埋めているってのは容易に想像できます。
洗顔等でセラミドが流出するというよりは、この遊離脂肪酸が
流出しやすく、乾燥やつっぱりの原因になっているでないかな?
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