表皮幹細胞の老化を抑制し、増殖させる効果がある?!
資生堂から、老化を抑制し細胞量を増加させるレモンアイアンウッド葉エキスを発見した
との発表がありました。
レモンアイアンウッド葉エキスとはなんぞやって話ですが、
葉にレモンのような芳香をもつフトモモ科の植物で、
原産地のオーストラリアでは古くから薬草として活用されてきたそうな。
レモンマートルが一般的に使われているのかな?
あとはレモンセンテッドマートル 、スイートバーベナなどの別名もあります。
レモンよりもレモンの香りがするといわれ、レモンと異なり酸味がないことから、
スパイスとして利用されています。
また、精油として使われています。
柑橘系の精油はほとんどがリモネンを主成分としていますが、
レモンアイアンウッドはシトラールが主成分で、持続性の高い
香りとなっているそうな。
化粧品原料ではOILESS'CITYという原料があります。
表示名称は水、グリセリン、バクホウシアシトリオドラ葉エキス
過剰な皮脂を抑える効果があるとされます。
基底層に表皮幹細胞が存在しているわけですが、
この表皮幹細胞は肌の保湿やバリア機能、さらに真皮のコラーゲン産生などに関与しており、
肌の維持には欠かせない存在です。
表皮幹細胞はYBX1(Y-box binding protein-1)によって、老化を抑制されている
ことがわかっています。
YBX1は核酸と結合部を持つタンパク質で、種々のストレス応答、細胞増殖
に関与する転写、翻訳の制御を行っていると考えられています。
YBX1がリン酸化すると、その機能が著しく低下し、
老化が促進されることがわかっています。
まあ、これを発見したのも資生堂なんですが。
リン酸化は文字通り、リン酸が結合すること。
エネルギー産生に大きな役割を担っています。
また、タンパク質の活性を制御するための機能でもあります。
100種類以上の化粧品原料を調べた結果、レモンアイアンウッド葉エキスに
YBX1のリン酸化を防ぐ効果があることが示唆されたわけです。
レモンアイアンウッド葉エキスで、YBX1のリン酸化を防ぎ、
老化を予防できるかもしれないってのが話の概要になります。
なぜ、YBX1がリン酸化するのか、その引き金はなんなのかってのは
よくわかっていないんですよね。
おそらくは、各種幹細胞の維持のためにYBX1が関わっており、
ガン化した細胞を増やさないようにするための仕組みなんじゃないかと。
ガンの進行具合とYBX1の間には正の相関がみられるといわれ、
まあ、末期ほどYBX1の量が多くなり、ガンの進行具合の指標になるといわれています。
一方で、分化に超重要な役割があり、YBX1遺伝子をノックアウトしたマウスは
生後すぐに死んでしまうとか。
脳の形成に異常をきたすそうな。
資生堂の独自の発想で、今後の展開が楽しみではあります。
どのような形で実際の製品に落とし込まれるんでしょうね?
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