アシルセラミド産生に関わる酵素の量が増える
ネイチャーズウェイは、淡路島のイチジク果実エキスが皮膚バリアに最も重要な脂質である、
アシルセラミドの生産に関わる遺伝子の発現を高めることを発見しました。
アシルセラミドとは超長鎖脂肪酸をもつセラミドで、セラミドEOP、EOSなどが
該当します。旧表記ではセラミド1とか。
イチジクって大量の水分を貯蓄することで実を大きくするそうで、
高い保湿機能が備わっていると考えられ、何かしら有益な効果が得られるのでは?
ってところから研究が始まったそうな。
結果として、イチジク果実エキスが肌のセラミド産生に関わる遺伝子の発現を高めることを発見したと。
具体的には、β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子 (GBA)が活性化されたとのこと。
グルコシルセラミドから糖をはずしてセラミドにする酵素になります。
アシルセラミドの産生に関わる・・・まあ、関わるけども。
アシルセラミドが作られて、一旦糖をくっつけるんですが、
これは運搬のためです。セラミドは水に溶けないので
水溶性にするためにグルコシルセラミドにします。
で、GBAによって糖をはずして細胞間脂質になるわけです。
ただ、ちょっとアシルセラミド合成酵素からはちょっと遠いかなー
GBAでは。
一番最初の図はあくまでGBAの遺伝子の発現が1.32倍になったという話で、
セラミド1の産生量が増えたわけではないです。
遺伝情報はDNAという形で保存されているわけですが、
DNAから必要な情報だけ抜き取る必要があります。
これを転写といって、DNAの特定領域だけをm-RNA(メッセンジャーRNA)と
いう形で情報を持ち出します。
ここではGBAの遺伝子からm-RNAを転写して、
この量を測定したわけです。
本来はここからアミノ酸を繋げる翻訳が行われ、
小胞体で折りたたみや装飾が行われて、酵素となります。
ですので、遺伝子の発現量が1.32倍になったからといって、
酵素の量が1.32倍になることはないです。
まして、セラミドの量が1.32倍になることはないです。
その数値よりも下がります。
GBAのm-RNA量は増えるというのは間違いないと思いますが、
正しく翻訳され、小胞体でちゃんと酵素という形にする必要があります。
小胞体ストレスというものがあって、翻訳されたアミノ酸鎖が
正しく酵素とならないことがあります。
また、セラミド合成には様々な酵素が関わっており、
1つだけ突出しても、少ないところがあれば、
そこに生産量が合わせられることになります。
まあ、樽理論ってやつ。
一体どれだけアシルセラミドが増えるのか?
正直、あまり期待はできないかな・・・
アシルセラミドといわず、セラミドを増やすって話であれば
有用性を示せるかもですがね。
前々別の話ではありますが、セラミド合成を促進するために
弊社ではSoline(ヒマワリ種子油不ケン化物)を使用しているんですが、
セラミド1の量が3.7倍になってるんよな。
m-RNAとか酵素を測定しているわけではなくて、
直接セラミド1の量を調べているんよ。
これって改めて凄いことよなー
と思った次第。