仕様です
ナチュセラクリームが離水するけど、大丈夫?
という問い合わせは多いです。
ナチュセラクリームは水添レシチンのみで乳化を行っており、
安定性に欠けています。
水添レシチンはレシチンに水素を添加したものになります。
細胞膜を構成する成分に近い構造をしており、
二重膜構造を取ります。
リポソーム化に欠かせない成分です。
水添レシチンを使用したクリームとそうでないクリームを比較した時、
水添レシチンを使用したクリームは肌の水分量を有意に高めたという
データがあるように、乳化剤であると同時に保湿剤でもあります。
また、リポソーム化した成分は肌の奥まで浸透します。
良いことづくめである水添レシチンではありますが、
弱点が1つあります。
そう、安定性に欠けるという点。
水添レシチンだけで乳化するのは非常に難しく、
さらに安定させるのはさらに困難になります。
そのため、多くの加工先では水添レシチンだけで
乳化してクリームを作ることに難色を示します。
離水するようでは、安定性の試験に合格することはなく、
製品として出荷することができないからです。
うちは無理を言って作ってもらっており、
離水してもOKという基準で作ってもらっています。
離水するのがデフォルトといっても過言ではないです。
混ぜて使ってもらえば問題ありません。
水添レシチンを使うことになった経緯ですが、
初期はステアリン酸グリセリルを使用して乳化していました。
ステアリン酸グリセリルは非イオン界面活性剤で、
刺激性はほとんどない、安全性の高い乳化剤です。
当時、起業したばかりのときは、「界面活性剤ガー」っていう
人がたくさんおり、安全性に問題がないステアリン酸グリセリルで
すら叩かれたわけです。
界面活性剤=肌のバリア層を破壊する
っていうネガキャンをしていた連中がいまして、
今でこそそんな与太話を信じている人はいませんが、
当時はその話を鵜呑みにしていた人がたくさんいました。
角質層の回復能を調べるのに、一度角質層を壊す必要があり、
その時に使われるのがラウリル硫酸Na(SDS)であり、
その悪名はシャンプーでよく知られています。
SDS=肌のバリア層を破壊するってのを拡大解釈して
SDSは界面活性剤、だから界面活性剤は肌に悪いと
風評したわけです。
もちろん、流布した連中はその理論が間違っているのは
理解したうえでやっているわけで、質が悪い。
で、まんまと踊らされた人がたくさんいたってわけさね。
じゃあ、天然成分で置き換えようと考えた時もありました。
サーファクチンにはじまり、OZ-300U(酒粕エキス)、
ACS-Sophor、Amitose MGA(ビタミンC誘導体)と色々試したのですが、
まあ、乳化しない。
安定性が悪い以前に乳化が滅茶苦茶難しいそうな。
乳化ってのはある意味、加工先の技術の蓄積みたいなところがあり、
未知の乳化剤ってのは勝手がわからないそうな。
処方を根本から見直す必要があるとのことで、
断念したわけです。
結果、水添レシチンでいいかってことで、今にいたります。