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植物の力でヒト型セラミドを作る

セラミド市場がひっくり返るかも

埼玉大学 大学院理工学研究科 分子生物学PG戦略研究センター・グリーンバイオサイエンス研究領域

准教授 石川 寿樹氏によって、植物から簡単にヒト型セラミドを抽出する技術が

確立されたってな話がありまして。

 

植物を用いてスキンケアに有用なヒト型遊離セラミドを量産する技術

 

植物セラミドといえば、グルコシルセラミドが一般的なのですが、

実は植物全体の占める糖脂質は別のセラミドなんだそうな。

GIPC(glycosy linositol phospho ceramide)、糖鎖結合型セラミド

と呼ばれるもので、糖がオリゴ糖になっているものが、

非常にたくさん含まれているんだとか。

難溶性で抽出がメッチャ難しくて、おまけに消化吸収されないので

使い道がないってことで、あまり注目されてこなかったセラミドになります。

 

このままでは使い道はないのですが、糖を取り除ければ

遊離セラミドになるのでは?ってことで研究を進めたそうです。

 

なんと、このGIPCのセラミド部分は、非常にバリエーションに富んでいて、

200種類以上のセラミドが存在していたそうな。

されに、多くが超長鎖脂肪酸をもったセラミドだったと。

 

つまり、GIPCを遊離セラミドへと分解できたら、今の天然ヒト型セラミドと

して存在しているものよりも、バリエーション豊かでより高い効果を

期待できるといえます。

 

問題は、どうやって?って話なのですが、その答えは意外に簡単でした。

GIPCは非常に安定している物質ですが、植物をすり潰すなどの

破砕行為をすることで、植物体内の酵素によって、急速に分解され、

遊離セラミドに変化することを発見しました。

 

これを利用することで、糖脂質の占める遊離セラミドの割合が

5~7割程度と大幅に増加することが確認されています。

 

凄い話で、元となる原材料の選択肢は無限に広がり、

しかも大した技術も設備も必要ではなくて、

安価に簡単にヒト型セラミドを得ることができる、

まさに革命的な話です。

 

課題としては、セラミド高産生の植物の選定、

効率よく、より質の高いセラミドを作るの植物を選び出す作業が必要とのこと。

また、酵素反応の条件の最適化も必要になってくるとのこと。

 

まあ、最終的にできるヒト型セラミドの質を見て選ぶってのも

非常に魅力的な商品になるとは思いますが、

植物から持ってくってことも可能なわけです。

例えばハトムギ由来の天然ヒト型セラミドとか、

ダイズ由来の天然ヒト型セラミドとか、分かりやすい付加価値が

つけれると思います。

 

また、複数の植物を組み合わせることで、よりバリエーション豊かな

セラミドになり、それも全然ありだと思います。

 

そう遠くない将来、安価な天然ヒト型セラミドが出回ることになっている

かもしれませんね。

 

 

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