m-RNAの量を調べてるんだけどさ
上図はイチジク果実エキスを0.5%添加することで
β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子 (GBA)の発現が1.32倍になったをとを
示している図となります。
GBAは糖セラミドから糖を取り除く酵素になります。
これ、何を調べているのかちゃんと理解している人って少ないのかなー
と思ったので、ちょっと解説していこうと思います。
中にはセラミドが1.3倍になったと思っている人もいるみたいなので・・・
遺伝情報は細胞核の中にあるDNAにコードされています。
DNAは図書館みたいなもので、その情報の一部を貸し出したものが
m-RNA(メッセンジャーRNA)といいます。
DNAの情報をRNAにすることを転写とよびます。
たとえばGBAの遺伝情報が核のDNAに存在しているわけですが、
この情報を使うためには一度RNAにする必要があります。
転写されることでできたm-RNAはアミノ酸の配列がコードされており、
その情報をもとにアミノ酸が並べられていきます。
この過程を翻訳といいます。
GBAを作るためのアミノ酸が並べられ、アミノ酸の一本鎖ができるのですが、
これで完成ではありません。
小胞体でこのアミノ酸の鎖を折りたたんだり、装飾したりして、
タンパク質にします。
ここでようやくGBAという酵素が完成するってわけさね。
このGBAが糖セラミドから糖を取り外すことで、セラミドが増えるってわけ。
さて、話を戻しますが、遺伝子の発現量を見るってのは、
m-RNAの量を見ているってわけです。
なんで直接酵素の量を調べないのかって話ですが、
m-RNAを調べるほうが圧倒的に簡単なんですよ。
特定のタンパク質を抽出するってのは非常に難しく、
逆に核酸だけを抽出する方法は確立されていますから。
あとはPCRにかけて、特定のバンドが濃くなっているか見ればよいだけですから。
ただ、m-RNAから翻訳→装飾→酵素→セラミドと
踏まなければならない段階が多いわけ。
正直、2、3割m-RNAが増えたとて、実際にセラミドの量がどれだけ
増えるかってのは未知数なんですよ。
実際に影響を及ぼすためには2、3倍は欲しいところですよね。
まあ、一般の消費者に見せるためのデータではないので、
正直知らなくても全然問題はないんですけど。
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