ペリオスチンというタンパク質の役割とは?
アトピーが慢性化するのはペリオスチンが原因だということが明らかとなってきています。
ペリオスチンは約90kaDの細胞外マトリックスタンパク質。
細胞表面に存在する受容体に結合し、シグナル伝達を行います。
サイトカインであるIL-4、IL-13を誘導することが知られています。
骨や歯では常時発現している物質で、骨や歯を形成するのになんらかの
役目を果たしていると考えられています。
また、心臓の発生にも重要な役割があるんだとか。
アトピーが慢性化するメカニズムは、以下のようになっていることが分かってきました。
1. T細胞がIL-4やIL-13を分泌します。
2. これらのサイトカインが線維芽細胞を刺激し、ペリオスチンの産生を促します。
3. ペリオスチンが表皮細胞上のインテグリン受容体と結合します。
4. この結合が引き金となり、表皮細胞が炎症を促進するサイトカインを分泌します。
5. 分泌されたサイトカインがさらにT細胞の反応を加速させます。
この一連の過程が、ぐるぐる回ることでアトピーが悪化、慢性化するといわれています。
定常状態の成人皮膚におけるペリオスチンの発現は真皮―表皮境界部の真皮側と
毛包の一部に限局していますが、アトピー性皮膚炎患者の病変皮膚組織においては
真皮内に広くペリオスチンの発現が見られます。
ペリオスチンの濃度とアトピーの症状には正の相関がみられ、
ペリオスチンの蓄積が多いほど、重篤なアトピーとなります。
IL-4、IL-13はTh2型のサイトカインで、Th2型は寄生虫などに対抗するための免疫で、
昨今はあんまり仕事ない免疫システムとなります。
仕事がないから花粉を攻撃して、花粉症の症状を引き起こします。
つまり、花粉症の原因となっているサイトカインってわけ。
線維芽細胞がペリオスチンを産生するのですが、おそらくは骨代謝に関わっている
のだろうと思われます。
ただ、ガンの増殖や転移に関わりがあるとされる側面もあります。
サイトカインが関わると、途端に複雑になってわけわからんくなりますよねー
ペリオスチンを抑制すればアトピーが治るって単純な話ではないようで。
必要だけど、過度な発現は望ましくないってことなので、
ペリオスチンを直接的に叩くって方法は難しいのかねえ?
一応、ペリオスチン遺伝子をぶっ壊して、ペリオスチンを産生できなくすることで
アトピーの症状は改善されるらしい。
その結果、何か問題があるのかはちょっとわからん。
どっかの論文に書いてあるとは思いますが。
富山大学の研究ではCP4715というペリオスチン阻害剤を開発しており、
CP4715が受容体に先に結合することで、ペリオスチンがが結合できなくなり、
ペリオスチンによるシグナル伝達できなくなるって仕組み。
ペリオスチンを直接作らせないわけではなく、炎症に関わる一連の
反応を堰き止めるって感じなので、副作用も甚大なものになることは
ないかと思われます。
NF-κBがペリオスチンを含めた一連の炎症の原因でることから、
NF-κBを抑えるというのも有効ではあるのかなー
そうなるとアーティチョーク葉エキスはアトピーにも有効かもしれんのか。
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