高濃度ビタミンC、何か意味があるとでも?

みんな大好きビタミンCではありますが。

ヒトに進化する途中でビタミンCを合成する機能を欠損してしまったため、

ビタミンCは必須ビタミンとなり、常に補う必要があります。

しかも体内に貯蓄できないため、過剰分は尿で排泄されます。

 

図の下の水酸基(OH)は酸素との反応性が非常に高く、

酸化してデヒドロアスコルビン酸となります。

血中には酸化したビタミンCを還元する酵素があり、

デヒドロアスコルビン酸はアスコルビン酸となり、抗酸化作用を復活させます。

 

経口投与する際は酸化していても問題なく、むしろデヒドロアスコルビン酸の

ほうが吸収性が高いまであります。

酵素によって体内ではアスコルビン酸となるわけですから。

 

 

一方、塗布となると話が変わります。

アスコルビン酸は放っておくと酸化していきます。

水に溶けた状態はより顕著になります。

通常は数時間で半分以上が酸化してしまうといわれます。

その性質を利用して、酸化防止剤としてドリンクに含まれているわけですが。

 

 

化粧品ではアスコルビン酸が酸化してたら困るわけです。

肌にはデヒドロアスコルビン酸を還元する酵素が存在しないからです。

存在していれば、ビタミンC誘導体などというものは必要ないわけです。

 

 

ビタミンCの酸化しやすさへの対応としましては、1つはビタミンC誘導体を使う

ってのが一般的です。

多くの製品ではビタミンC誘導体を使用しており、ビタミンC誘導体の

種類も豊富です。

水溶性、油溶性、両親性のほか、即効性を重視したもの、

持続性を重視したもの、ビタミンCを誘導しなくても作用するものなどなど

多岐にわたります。

 

優秀な原料がいっぱいあるのですから、おとなしく誘導体使っとけやって

思うのですが、コスト的な問題がありましてね。

ビタミンC誘導体はピュアビタミンC、つまりアスコルビン酸と比較すると

圧倒的に高いのですわ。

 

逆にいえば、ビタミンCはとっても安価なのです。

 

だから、何かと理由をつけて使いたがるわけさね。

 

ビタミンCを直接使いたいってことで、2剤にわける方法が

一時流行りました。

これって何年かのスパンで定期的に流行るんですよね・・・

 

使うときに溶液にビタミンCの粉末を混ぜるってやつ。

理にはかなっていますが、結局面倒ってことで長続きしないわけですが。

 

ビタミンCをコーティングするって方法もあります。

サプリの原料で油脂でコーティングしたものがありましたが、

ジェル状のものに分散すれば使えなくもないかな。

乳化したら台無しですから。。。

 

リポソーム化するってのも1つの手ではありますが、

あんまり意味はないかな。

一般的には水添レシチンによってリポソーム化します。

図で見てもわかるように、結局は水に溶解されているわけでして・・・

普通に酸化が進みます。

多少は遅くなるかもしれませんが、酸化を防ぐことは叶わないません。

 

しかも、内容物に対して何倍もの水添レシチンが必要となりますので、

高濃度での配合は不可能です。

 

 

ビタミンCの効果は抗酸化作用にあります。

美白効果とか抗炎症効果とか、毛穴がどうのこうのってもの

抗酸化作用によってもたらされるものです。

 

ですので、どれだけ高濃度のビタミンCが含まれていたとて、

酸化してしまっていては、効果を発揮することはできません。

無意味ならまだいいですが、肌に悪いことになる人もいます。

 

まあ、知名度は抜群なので高濃度を謳えば売れるのはわかりますけども・・・

 

 

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