腸管粘膜のマスト細胞が増殖する?!
順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センターらの発表で、
食物アレルギー症状の悪化に関わる新規のメカニズムを解明したと。
本論文は、Allergy誌のオンライン版に2025年1月27日付で公開されています。
新規メカニズムってことは従来のメカニズムが存在しているわけですが・・・
特定の食物(アレルゲン)を摂取する
→体がその食物を異物と認識する
→血中のIgE抗体が反応する
→アレルギー反応が起こる
という流れのことであっている?
ある食べ物のタンパク質を敵として認識してしまい、
免疫が抗体というなのミサイルを作るようになります。
アレルゲンが入ってくると、このミサイルを過剰にぶっぱなすので
色々な症状がでます。
で、これとは別の仕組みがあるっちゅうわけですね。
食物アレルギーの症状誘発には腸管粘膜のマスト細胞が重要な働きをしているということは
知られていましたが、実際に食物アレルギーを起こしたマウスを作り、観察したところ
腸管ではマスト細胞数の顕著な増加が見られたそうです。
ただ、この増加がどのような仕組みで起こるのかは知られていませんでした。
で、今回はその仕組みを明らかにしたって話のようです。
結論としては、粘膜型マスト細胞によるヘルパーT細胞への
抗原提供が過剰なマスト細胞の増殖につながるということらしい。
マスト細胞とは肥満細胞と呼ばれるもので、アレルギーに深く関与している細胞です。
腸管に存在するマスト細胞がアレルゲン(抗原)と定めたものを
ヘルパーT細胞に伝えると、ヘルパーT細胞からIL-4、IL-5とサイトカインが放出されます。
これらが引き金となってマスト細胞からIL-9が過剰分泌され、
それによってマスト細胞が増える・・・
これによって食物アレルギーが悪化するというメカニズムとのこと。
粘膜型マスト細胞を増やさないようにすれば、食物アレルギーの悪化を防げることから、
IL-9を抑制ないし不活性化するか、IL-9受容体への結合を妨害することで、
食物アレルギーの緩和が可能になるかもしれないってのが今後の展望。
粘膜型マスト細胞を減らせばよいんでない?と素人ながら思ったのですが、
粘膜型マスト細胞を特異的に減らすような成分ってのは存在しないかー
その辺の手段が見つかれば、食物アレルギーを克服できるかも。
粘膜型マスト細胞は元々は対寄生虫の防衛システムで、
現在では仕事がなく暇をしているわけです。
勝手に仮想敵を作って暴れるのが食物アレルギーってなわけです。
食物アレルギーは基本的には一生付き合っていかないといけないものなわけですが、
解明が進んでいけば、いずれ克服できる日が来るのかもしれませんね。
まあ、薬を飲んでまで食べたいってわけでもないんですけど・・・