カワラヨモギ花エキスがHYBIDの発現を抑制するメカニズム
ヒアルロン酸は非常に代謝が早く、肌のヒアルロン酸は
1日ですべて代謝してしまうのだそうな。
その原因となっているのはHYBIDという酵素で、
ヒアルロン酸代謝酵素と呼ばれるものです。
新生児はこのHYBIDの活性が最も弱く、ヒアルロン酸が多く維持されるため
そのため赤ちゃんの肌はみずみずしい。
ヒアルロン酸は水分を保持する性質がありますからね。
体内の80%が水分という状態を維持できるのもヒアルロン酸が多いから。
で、これは加齢と共に活性化していきます。
また、炎症下でもHYBIDは増加するといわれています。
ヒアルロン注射などで肌にヒアルロン酸を注入したとて、
HYBIDによってすぐに分解されてしまうし、
ヒアルロン酸は塗布では分子量がデカすぎて入っていかない。
じゃあ、HYBIDの活性を抑制すればよいじゃないってことで
でてきたのがヒアルガードになります。
カワラヨモギの花が主原料となる化粧品原料で、
HYBIDの活性を赤ちゃんと同じレベルまで抑える効果があります。
炎症下でもHYBIDの産生を抑制してくれます。
とっても優秀な原料であるヒアルガードの作用機序がScientific Reportsに掲載されました。
カワラヨモギ花エキスの中でHYBIDの発現を抑制している化学成分の同定を試みた結果、
Kawarayomogin IとKwarayomogin IIと名付けられた新規化合物を見出しました。

Compound1がKawarayomogin I、Compound2がKawarayomogin Ⅱに該当します。
今まで知られていなかった物質がカワラヨモギ花エキスから見つかって、
これらが有効成分だと同定されたわけです。
これらの物質が直接HYBIDの発現を抑制しているのではなく、マイクロRNAであるmiR-486-5pの発現を
上昇させることで、エピジェネティックに HYBID の発現に影響を与えているんだそうな。
マイクロRNAは2024年に機能が解明され、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたばかり。
非常に小さく、22~25塩基で構成されており、意味のないゴミだと考えられてきました。

実際はmRNAとくっつくことで、タンパク質への翻訳を邪魔し、
作られるタンパク質の量を調整するという機能があったわけです。
つまり、マイクロRNA(miR-486-5p)の産生がKawarayomogin I及びKwarayomogin II
よって促進され、HYBIDのmRNAの翻訳を邪魔することで、HYBIDの量を抑えるというのが
ヒアルガードの作用機序であるってわけさね。
ちなみにmiR-486-5pは、膵臓がんの悪性度に寄与している可能性が示唆されているほか、
アポトーシスにも関与しているといわれています。
マイクロRNAに関してはガン治療での分野でホットな話題となっています。
要するに分からんことだらけで、今後色々と明らかになっていくであろう分野ってわけ。
もちろん、化粧品業界でもマイクロRNAに着目した原料は今後出てくると思われます。
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