老化細胞を除去するサプリメントが発売される?!
ファンケルが老化細胞を取り除く成分を世界で初めて発見したと発表しました。
日本にも生息する植物「キンミズヒキ」から抽出されエキスに老化細胞を減らす効果が
あることを見出し、これをサプリメントで販売予定とのこと。
老化細胞とは細胞分裂を停止した細胞のこと。
細胞分裂の際にDNAのコピーミスや紫外線などの外的刺激によって
DNAが損傷すると細胞は分裂をストップします。
これは細胞が体内において異なる遺伝情報を持った異物となってしまったため、
自ら敢えて分裂を停止します。分裂を停止できなかったものはガン細胞と呼ばれます。
つまり、老化細胞になるのはガン化を防ぐための重要なメカニズムなわけ。
老化細胞は免疫細胞によって処理されるんですが、
その免疫細胞を集めるために出すシグナル物質が炎症誘発物であるため
老化細胞の周りで炎症を起こします。
その炎症が周りの細胞にダメージを与え、結果として周りの細胞が老化細胞に
なってしまうということが起こります。
ですので、老化細胞は速やかに除去されるべきもので、
理論上老化細胞を完全に除去できれば、ヒトの寿命は著しく伸びるといわれています。
一説には400歳まで生きれるとか。
で、今回の話ですが、キンミズヒキに含まれるアグリモール類に老化細胞を減らす
効果が確認されたとのこと。
アグリモールはポリフェノールの一種。
中高年層(年齢が40歳~60歳未満の日本人男女)を対象にキンミズヒキ由来アグリモール類
を含んだサプリメントを摂取する試験を行ったそうな。
キンミズヒキ摂取群とプラセボ群にわけ、8週間の摂取後にキラー細胞の老化細胞の割合を
調べました。
プラセボ群は28人、キンミズヒキ群は25人。
結果としては、プラセボ群に比べ摂取群では老化細胞の割合が3~4%少なかったと。
有意差は確認できなかったのですが、男性に限定すれば有意差がでたとのこと。
うーん、このデータで機能性表示食品に出来るのかだいぶ怪しいですが、
発表があったってことは、登録できたんでしょうな。
老化細胞を減らすって文言がでてくるのかは定かでは懐疑的ですけどね。
この試験、色々問題あるんですけど、わかりますか?
サンプルが少ない?
まあ、確かにそれもあります。
有意差がでていない。
確かにそう。効果がなかったっていっているわけですから。
根本的な話ですが、キラー細胞を調べてるってのが、
一番そぐわない点なんすよ。
キラー細胞って免疫細胞の一種で、寿命が10日前後と短いんよ。
キラー細胞の老化って定義すらされておらず、定義されている老化細胞とは
そもそも異なるわけで、これを対象にしているのはどうなん?って話。
10日たったキラー細胞は寿命で活性が落ちているから老化細胞と
いうことができるかもしれません。
仮にそう定義したとすると、キンミズヒキエキスによって、
キラー細胞の寿命が延びて、長く働けるようになったって可能性と、
キラー細胞の寿命が来る前にお役御免になっている可能性があります。
喩えると、65歳で定年のところを70歳でも現役バリバリにする効果、
もしくは60歳でリストラしてしまう効果、どちらかの可能性もあるよってこと。
また、老化細胞を除去する世界初の成分って話ですが、
厳密には初めてってわけではないです。
老化細胞=ガン細胞なので、ガンをやっつける成分ってのは
老化細胞にも効くわけよ。
ガン細胞のほうにフォーカスされているため、老化細胞で試験されていないってだけで。
老化細胞を除去するには2パターンがあり、1つは免疫細胞に除去させるってもの。
1つは免疫細胞を集めて処理させる方法。
資生堂のメモリーT細胞を集めるってのはその典型。
もう1つは老化細胞をアポトーシスする方法。
紅豆杉のエキスにガン細胞をアポトーシスする作用が確認されています。
まあ、2023年10月に区分が医薬品になってしまったのでサプリメントでは
とることができなくなっちゃいましたが。
あとはフコイダンにもガン細胞をアポトーシスする作用があることが確認されています。
ガン細胞と老化細胞は同じもの・・・いや、ガン細胞のほうが何百倍厄介なので、
老化細胞をアポトーシスに導くことは容易いのではないかな?
まあ、エビデンスがあるのはガン細胞に対してだけどね。
ケルセチンが老化細胞を除去するってのが動物実験で確認されているなー
これもアポトーシスを促すものです。
キンミズヒキがどちらかの効果を有するのか、それとも全く別のメカニズムが
あるのかはわかりませんが・・・
老化細胞を除去するってのはまだまだ入口に立ったくらいの状況ですからね。
今後、さらに研究が進めば、本当に老化を治すことが可能な時代がくるかもね。