敏感肌用を謳うのであれば
コールドプロセス製法で作っていると主張している石けんの
成分表示には「石ケン素地」の文字が。
石ケン素地は水、オイル、強アルカリ(水酸化Naなど)を含んでいます。
もしくは●●脂肪酸Na、〇〇脂肪酸Na、水、グリセリン
これらは鹸化法によって作られた石ケン素地で、
中和法であれば水、ラウリン酸Na、ミリスチン酸Na・・・ってな感じになっています。
つまり、コールドプロセス製法で鹸化して作ったものであれば、
石ケン素地って書いてあれば、基本的には水を書く必要がありません。
石ケン素地は石ケンの素といっても過言ではなく、溶かして固めれば
石ケンになります。
鹸化という面倒な工程も、30~90日くらい乾燥させるということも不要で、
製造コストを大幅に削減できます。
この場合は石ケン素地、水の順になります。
でも、石ケン素地はコールドプロセス製法で作られているので、
嘘をついているわけではないのです。
ただ、質の悪いのはサボテンのオイルをメインにしているような書かれ方をしていること。
サボテンオイルを鹸化して作ったと誤認させるようになっているんよ。
まあ、ファットオイルとして入っているので、機能しないわけではないんですが。
石ケンってのは鹸化させるオイルによって性質が変わってきます。
石ケン作りの「肝」の部分になるわけで、石ケン素地と書いて
「肝」の部分をぼかすってのは、ちょっとどうかなって思います。
特に敏感肌用を謳うのであれば、なおのこと。
もちろん、流通している一般的な石ケン素地なので、特に問題はないんでしょうけども。
なお、石ケンの性質を決めるのは脂肪酸の種類と比率になります。
飽和脂肪酸
ステアリン酸:泡立ち、洗浄性に優れています。石けんの固さを増す傾向になります。
パルミチン酸:泡だちはよくないが、持続性のある泡ができます。固い石ケンになります。
ミリスチン酸:洗浄性が高く、きめ細かい泡になります。溶けにくい石ケンになります。
ラウリン酸:洗浄性、泡立ちに優れ、冷水でも泡立ちます。刺激性が高まる傾向にあります。
飽和脂肪酸は基本的には酸化しにくいです。また、固い石ケンになる傾向になります。
不飽和脂肪酸
オレイン酸:洗浄性、泡立ちがよく、かつ刺激性が少ない石ケンになります。ただ、非常に溶けやすい。
パルミトレイン酸:泡立ちがイマイチ、保湿効果があります。柔らかい石ケンになります。
リノール酸:洗浄性が高く、さっぱりした洗い上りになります。非常に脆い石ケンになります。
リノレン酸:泡立ち、洗浄性が高いが肌に優しいです。溶けやすく崩れやすい石ケンになります。
不飽和脂肪酸は皮脂をあんまり落とさないので、肌には優しい傾向にあります。
一方、不飽和脂肪酸だけだと溶けやすく、崩れやすい石ケンとなってしまうので、
飽和脂肪酸と合わせる必要があります。
使っているオイルから脂肪酸の組成を調べることで、その石ケンの性質を
予測することが可能です。
敏感肌用となれば、不飽和脂肪酸が中心となった組成になるはずですが、
石ケン素地としてしまうと、判別が不可能になります。
「ホンマに敏感肌用?」っていちいち疑わないといけないわけで、
本当にやめて欲しい。
また、石ケン素地を使っているのにコールドプロセスを語るのもやめて欲しい。
それコールドプロセス製法で作った石ケンではないから。
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