少々不憫な原料です

プロピレングリコール(PG)は昨今あまり使われない傾向になります。
風評被害が酷くて、追いやられた不憫なやつです。
そんなPGがほとんどを占める化粧品があってねえ。
97~99%がPGなんよ。
まあ、一応理由があって、アスコルビン酸を使っているんです。
アスコルビン酸=ビタミンCです。
非常に高い抗酸化作用があるため、非常に酸化しやすいという特徴があります。
基本的には酸化防止剤として配合されます。
同様に安定性の非常に悪いビタミンA(レチノール)の酸化を防ぐ処方として、
ほぼ油って状態にするものがあります。
酸化耐性の高い油剤にビタミンAを溶かしておけば、酸化から守られます。
ビタミンCは水溶性なため、油に溶かすってことができません。
もちろん、水に溶かすってのは論外。
そこでPGに溶かして、水を一切使用しない処方にすることで
ビタミンCを酸化から守ることができるってなわけ。
無色透明で保湿効果、防腐効果があることから、化粧品にもよく使われていました。
毒性はないって言われているのですが、何故に避けられるようになったのか?
事の発端は「経皮毒」という本なんですが、これはデトックス(解毒)を謳う
サプリメントかなんかを売る会社が出した本で、日用品の危険性を煽り、
「あなたは普段からこんなに毒物を摂取しているんです。このままだと毒に侵され
病気になってしまいます。そうならないように〇〇を摂取しましょう!」
ってやるための本です。
ちなみにこの会社の人、捕まってます。
この中でPGがやり玉に挙げられているんです。
なんでもキャリーの働きがあって、あらゆる物質を浸透させる効果があるんだとか。
(いや、ないけどね)
そこから発生して、PGの原液は劇薬だとか、PGには発がん性があるだとか、
根も葉もないうわさがネット上に広がりました。
化粧品でも同様のバイブル商法が行われて、その中にもPGが「悪」として
語られらました。浸透剤って扱いだったかな?
その影響でシャンプーや化粧品などの解析サイトがPGを危険な物ってな扱いをして、
業界内では頭を抱えることとなります。
もちろん、ほぼほぼ言いがかりのようなものなので、PGが本当に危険ってわけ
ではないのですが、厄介な話で精製の荒いPGが出回ったことがあってねえ。
まあ、粗悪品ってやつ。
コスト削減の一環で使われたそうですが、それが悪さをし、
このPGが悪って話に説得力を持たせてしまったわけよ。
主要な基剤であるにもかかわらず、現段階で使用しているところは
本当に見かけなくなりました。
原料由来でちょこっと入っているってくらいしか見ないですから。
国内では原料にすら使っていないです。
ウチも設立当時はPG使ってたんですが、色々言われたので
外したしね。
化粧品で配合されているくらいはほぼほぼ問題はないんですが・・・
原液となると話は別でして。
濃度68.06%以下においては、皮膚刺激性はほとんどなしとなっているんですが、
それを超える場合は、刺激性があるってことなのですよ。
また、30%では皮膚感作を引き起こす可能性ありとされています。
30%以上ではアレルギー反応を示すことがあるっていわれているわけ。
当たり前ですが、そんな高濃度で使用することなんて想定されていないんです。
だから、安全ですよって話になっているわけで。
しかも、医薬部外品でこれやってんのよな。
医薬部外品は安全性を担保している製品なんですが・・・
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