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※セラミドは保湿成分(以下省略)
「セラミド (ceramide) はスフィンゴ脂質の一種であり、
スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
まず、大きな枠組みとして、複合脂質があります。
ようするに、脂質と何かがくっついたものというカテゴリーです。
その大カテゴリーのうちの1つが、スフィンゴ脂質と呼ばれ、
脂質+スフィンゴイド類 の構造すべてがあてはまります。
脂質の種類の制限も、結合方法もなんでもありです。
スフィンゴ脂質という中カテゴリーのさらに小カテゴリーに
セラミドが位置します。
脂肪酸+スフィンゴイド類の構造です。
結合方法はアミド結合に限られます。
こちらがセラミドの基本構造。
オレンジの部分がスフィンゴイド、
グリーンの部分が脂肪酸。
で、こちらがアミン結合。
上の図のNから水素、脂肪酸、スフィンゴシンが出ている構造が見えてくると思います。
何がいいたいかというと、
天然セラミド(植物セラミド、馬セラミド)はこのセラミドの基本構造に糖が結合したものです。
つまり、厳密にはセラミドとは違う性質を持った物質ということになります。
皮膚の構造は表皮、真皮でできていて、その厚さは約2mm。
セラミドが存在するのは、表皮の一番外側にある角質層になります。
この角質層の厚さは僅か0.02mm。
角質層は大きく分けて、死んで核が無くなった角質細胞と、
その間を埋める細胞間脂質に分けられます。
細胞間脂質は死んだ細胞である角質細胞をつなぎ合わせる
接着剤の役割を果たしています。
そして、細胞間脂質の50%以上をセラミドが占めているわけです。
(セラミド類 約54%、遊離脂肪酸 約21%、コレステロール約16%、コレステロールエステル 約8%)
セラミドは角質細胞間で規則正しく隙間なく並び、
間に水を挟み込んでラミラ構造を形成します。
ここに挟み込まれた水分は、湿度0%でも蒸発せず、
気温が氷点下でも凍ることがないくらい、しっかり水分を閉じ込めます。
※セラミドは肌の細胞間脂質に高濃度で分布しているのは確かですが、
全身の組織に存在しています。1つは神経細胞の分化に関わっているため、
脳や神経組織に多く分布します。
ですから、馬セラミドは馬の脊髄から抽出しているわけです。
また、細胞シグナル伝達物質として、分化、増殖、細胞死(アポトーシス)に
関与している重要な物質です。
ただ、肌のセラミドの特徴として、脂肪酸が長鎖であることが挙げられます。
(長鎖脂肪酸の占める割合が50%以上)
セラミドの構造は脂肪酸+スフィンゴイド
上図はセラミド3の分子構造式。
脂肪酸はステアリン酸、スフィンゴイドはスフィンゴシンになります。
脂肪酸とスフィンゴイドの組み合わせにより、
セラミドの種類が分類されます。
脂肪酸には3種類
non-hydroxy fatty acid(非ヒドロキシ脂肪酸)、
α-hydroxy fatty acid(αヒドロキシ脂肪酸)、
Esterified ω-hydroxy fatty acid(ωヒドロキシ脂肪酸)
それぞれ[N]、[A]、[EO]と表します。
スフィンゴイドには4種類
dihydrosphingosine(ジヒドロスフィンゴシン)、
sphingosine(スフィンゴシン)、
phytosphingosine(フィトスフィンゴシン)、
6-hydroxy sphingosine(6-ヒドロキシフィンゴシン)
でそれぞれ[DS]、[S]、[P]、[H]と表します。
その組み合わせでCER[NDS]、CER[NS]、CER[NP]、CER[NH]、CER[ADS]、CER[AS]、CER[AP]、CER[AH]、CER[EODS]、CER[EOS]、CER[EOP]、CER[EOH]という風に理論上12種類のセラミドが
考えられ、実際のヒトの角質層で12種類が見つかっています。
セラミドADSはセラミド11とは言わないみたいです。
原料として登録されているものは、
セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミドEOSになります。
セラミド7、セラミド8、セラミド9、セラミド10、は原料としては表記できないわけです。
また、セラミド3の脂肪酸であるステアリン酸の2重結合の数によって、
セラミド3、セラミド3A,セラミド3Bを区別している化粧品もあります。
ただし、インキコードに登録されていないので、表示はできません。
このように微妙な差を区別していくと、
現段階で342種類見つかっているそうです。
まず、スフィンゴイドの炭素数が18~22あります。
この時点で、5×4=20種類のスフィンゴイドがある計算になります。
(スフィンゴイド4種類 炭素数の違いが5種類)
そして、脂肪酸は、
α-ヒドロキシ脂肪酸(炭素数16~26)・・・10種類
ω-ヒドロキシ脂肪酸(炭素数20~34)・・・14種類
非ヒドロキシ脂肪酸(炭素数16~30)・・・14種類
合計すると脂肪酸は38種類になる計算です。
それらを掛け合わせると
20×38=760種類となるわけですが、
現実には存在しない組み合わせもあるので、
結果として342種類という数字がでてきているわけです。
(まだ見つかっていない可能性もあります)
脂肪酸の炭素数が多いほど、バリア機能が高くなり、
水酸基(OH)が多いほど膜構造が安定しやすいと言われます。
少なくとも大分類で9種類、小分類で300種類以上は世界的に常識です
【補足】
インキコードに関してですが、
日本ではセラミド1、セラミド2など数字で表すのが通例となっています。
しかしながら、海外ではセラミドEOS、セラミドNSなどアルファベット表記が
主流になっています。
国産である天然ヒト型セラミドは数字表記に対し、
海外産(ドイツ)の合成セラミドはアルファベット表記になっています。
学術的な表記はすでにアルファベット表記が正式な名称として定着しているので、
将来的にはアルファベット表記に統一されていく方向になると言われています。
しかしながら、日本では数字表記が主流のため、しばらくはどちらでも構わないという状況下が続くと思われます。